企画展「FLOW/SCOPE」
語り継がれる「工場の熱気」。全身をセンサーに変えた原風景。

「私自身は、創業初期の工場に直接立ち会っていたわけではありません。しかし、先輩方から聞かされる数々の逸話には、常に凄まじい熱気が宿っていました」。西岡はそう語ります。
物理的にも、精神的にも、当時のものづくりでは設計と工場の距離が限りなく近かった。時に工場は、風呂だけではなく、ハイウェイパトロールのバイクカバーから遊技場の装飾まで、頼まれれば何でも作る「巨大なラボ」のような存在でした。失敗を恐れず、理屈や計算よりも「まずは頃合いやカンを体に覚え込ませる。全身をセンサーに変えてスキルを豊かにする」という徹底した現場主義。
西岡が入社以来伝え聞き、憧れてきたこの「泥臭くも活気ある原風景」を、現代の開発者たちともう一度再現すること。それが、このプロジェクトの出発点でした。
風呂のアイデアを具現化し、たくさんの「No」の中から「Yes」を見つける。

今の日ポリ化工でも、新しい風呂のアイデアは絶えず生まれてきています。しかし、かつての時代と違い、現代のものづくり環境では、試行錯誤のプロセスが可視化されにくくなっています。
ひとつの「Yes(製品化)」に辿り着くまでに積み上げられた、無数の「No(失敗やボツ案)」。西岡と遠藤は、その「No」の中にこそ、日ポリ化工の真骨頂である「探求」が詰まっていると考えました。
「FLOW/SCOPE」は、そうした挑戦のプロセスをあえて社内外に晒し、開発者の情熱と工場の臨場感を再現するための「装置」として構想されました。完成された製品だけを見せるのではなく、素材との格闘や、試作の途中で流した汗を見せること。それによって、奥深くで眠っていたDNAを再び呼び覚まそうとしたのです。
FLOW/SCOPE #01。風呂の過去・現在・未来を繋ぐ。
FLOW/SCOPE。通称「フロスコ」では、開発チームや技術者が1年かけて磨き上げたユニットバスのプロトタイプやその周辺技術を、年に一度披露する場として定義されました。
初年度となった2025年は、大阪・御堂筋のTHE FLOWを舞台に開催。会場は、紀元前のインダス文明から現代、そして未来へと続く風呂の歴史を一覧できるコンセプト展示と、開発チームが心血を注いだ「プロトタイプ」を提示する2つの要素から構成されました。
過去を覗き込み(SCOPE)、そこから生まれる新しい価値の流れ(FLOW)を体感してもらう。それは日ポリ化工が第二創業期として、自らのビジョンを世界へ発信する重要なマイルストーンとなりました。
300年前の江戸湯船から、次なる生活習慣を変える提案へ。
初年度に会場に持ち込まれたプロトタイプは、約300年前に都市部で流行した移動式銭湯を現代のユニットバス発想で再解釈した「現代に蘇る江戸湯船」です。
単なる再現ではなく、クルーザーや水上の桟橋にそのままビルトインできるモジュール構造を採用し、風呂を中心とした、まったく新しいアウトドアリゾートの形を提案しました。これは風呂単体の開発のみならず、場のデザイン、ひいては新たなビジネスモデルの提案でもあります。
開発チームの挑戦にゴールはありません。目標は、単に便利な風呂を作ることではなく、かつての2号機がそうであったように、何十年かに一度、人々の生活習慣そのものを劇的に変えてしまうような風呂を提案すること。ものづくりの熱気を糧に、これからも未踏の入浴体験を具現化し、今後のフロスコで公開していきます。
このプロジェクトを通じて

若い頃に先輩方から聞いていた『あの熱気』を、今の若いメンバーと一緒に作り上げられたことが何よりの収穫です。理屈で考える前に、まずは手を動かし、プロトタイプとして形にする。この泥臭いプロセスの中にこそ、次の時代を支えるヒントが隠されていると確信しました
開発
西岡

今回の江戸湯船の発表は一つの通過点に過ぎません。『新しい風呂文化を創る』ためには、何十年かに一度は社会にインパクトを与えるお風呂を製品化していきたいですね。すでに、次回以降のフロスコに向けて、尖ったアイデアを温めています
開発
遠藤






