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理(ことわり)を問い、特注の現場で学び続ける。時間と共に得た、軽やかな重み。
- 企画設計
- 新卒
- 1990年
企画設計部 課長
須田
1966年生まれ。神奈川県出身。1990年、新卒で日ポリ化工に入社。本社工場、横浜工場、新宿事務所など複数拠点で勤務しながら、会社の成長とともに設計の最前線を歩んできた。特注ユニットバスの設計を長年担い、ホテルや集合住宅など多様な案件を形にしてきた企画設計部のご意見番的な存在。ユニットバス工業会にも長年参加し、業界の変化を社内へ持ち帰る役割も果たしている。ふだんは物静かで落ち着いているのに、「それはなぜか」「どこからそう考えるのか」を語り始めると、急に凛とした強さがにじむ人。休日は街なかで自分が関わった建物を見かけると、つい足を止めてしまう。
縛られすぎない環境だからこそ、設計の面白さを深く味わえた

須田が日ポリ化工に入社したのは1990年。本社工場で図面を書き始めてから、横浜工場、新宿事務所、そして現在の拠点へと、会社の拡大とともに勤務地も役割も変わってきた。長いキャリアを振り返っても、須田がこの仕事を続けてこられた理由は明快だ。毎回同じことの繰り返しではなく、案件ごとに条件が違い、その都度、自分の考えを反映しながら設計できるからである。
「大きな企業さんだと、システムとかルールで縛られる部分が多いと思うんですけど、うちはそこが違ったんです。もちろん絶対に守らなきゃいけないところはあるんですけど、そこさえ押さえれば、ある程度は自分の考えでものが作れる。特注のユニットバスって、毎回仕様が違いますから、単純作業じゃないんですよね。そこが面白いんです」
須田の言葉には、設計を単なる作図作業としてではなく、「考えて、形にする仕事」として捉えてきた実感がにじむ。標準機種をベースにしながらも、実際の物件では条件も納まりも異なる。だからこそ、設計者の判断や工夫がそのまま製品の質に直結する。
しかも、その成果は図面の中だけで終わらない。ホテルなら集客、住宅なら販売という形で、建物の価値として返ってくる。そのダイレクトさもまた、この仕事の大きな醍醐味だという。
「自分の考えが元になってユニットバスになって、世に出て、ちゃんとホテルとして集客できるとか、住宅だったら完売するとか、そういうのを経験できると、やっぱりまた頑張ろうってなりますよね」
設計でありながら、どこか開発に近い。その感覚が、須田にとっての日ポリ化工の技術職の面白さなのだろう。
大きな失敗を経て、図面よりも現場を信じるようになった

長く設計を続けていれば、当然失敗もある。須田にとって今も強く記憶に残っているのが、ホテル案件で浴槽が納まらなかったトラブルだ。特注のバリアフリータイプで、防水パンの上に既製の浴槽を載せる計画だったが、図面上では成立していたはずのものが、現場ではどうしても収まらなかった。
「結果的に、工場から技術の人に来てもらって、その場で削って補修して、全部直したんです。30台全部を手直ししました。本来なら、工場で試作して確認しておかなきゃいけない話だったんですけど、それをやっていなかった。そこが一番大きかったですね」
図面の中では問題がないように見えても、現物にすると違う。設計者にとってはごくわずかな誤差や思い込みが、現場では取り返しのつかない手戻りになる。その厳しさを、須田はこのとき身をもって知った。
そのピンチを救ってくれたのは、嫌な顔ひとつせず対応してくれた同僚たちだった。設計ミスである以上、責任は自分たちにある。それでも現場を止めないために動いてくれた彼らの存在が、須田の中には今でも強く残っている。
「やっぱり現場が一番なんですよね。図面上で大丈夫でも、実際に納まるかどうかは別の話で。あのときは、施工担当の声とか、現物をちゃんと見ることの大切さを本当に痛感しました」
この経験以降、須田の中で「現場を重視する」という感覚はより強くなった。机の上だけで完結する設計ではなく、施工のしやすさ、納まり、使われ方まで含めて考える。それが設計者の責任だと、はっきり自覚するようになったのだ。
だから若手を指導するときも、須田はすぐに答えを教えない。「なぜそう考えたのか」「その判断で本当に現場は困らないのか」と問い返す。失敗を責めるためではなく、同じことを繰り返さないために、自分の頭で考えてほしいからだ。
「失敗は、なくせる方がいいですけど、経験の一つでもあります。ただ、大惨事にならないように考えることはできる。だからこそ、どうしてそう考えたのかをちゃんと説明できるようになってほしいんです」
使う人にどう届けたいか。「なぜ」を考え続ける人ほど伸びていける

須田が日ポリ化工の強みとして何度も挙げるのは、いざというときの協力体制だ。
「何かあったときに、みんなすごく協力的なんですよ。逆に言うと、足を引っ張るような人がいない。そういう文化が根付いていることが誇れるなと思ってます」
その背景には、会社がかつて大手と同じ土俵では不利だと自覚し、特注という道に活路を見いだしてきた歴史がある。須田が40歳前後の頃、管理職世代が集まって「この会社は何を目指すべきか」を議論した場があったという。そこに出席したメンバーが導き出した答えが「特注オーダー」だったと振り返る。
そして今、須田自身は、長年培ってきた経験をどう次の世代へ渡すかを強く意識している。自分があと数年で任せる側から託す側に移るからこそ、若手には表面的な作図ではなく、ものづくりの本質を経験してほしいと考えている。
「やっぱり物を作ることが好きな人じゃないと、やっていけないと思うんです。だから、ただ図面を書くんじゃなくて、自分が関わったものがどう形になって、どう世の中に出ていくのか、現場に出て実感を持ってほしいんです」
長年、物静かに設計と向き合ってきた須田だが、こうした話になると急に語気が強くなる。設計者はどうあるべきか。若い人に何を経験してほしいか。その問いに向き合うとき、須田の中にある凛とした芯がはっきりと見えてくる。どんな案件でも形にしてきた人の言葉だからこそ、その重みがある。
これから就職する方へ
まずは、ものづくりが好きであることが一番大事だと思います。そのうえで、答えをすぐ求めるのではなく、「なぜこうなるのか」を自分で考えてほしい。設計の仕事は、図面を描くだけでは終わりません。現場でどう納まるか、施工で何が起きるか、使う人にどう届くかまで含めて初めて成立する仕事です。失敗も当然あると思いますが、そこから何を学ぶかで次が変わる。だからこそ、考えながら経験を積んでいってほしいですね。





