企画設計部 猪辺

猪辺
             
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企画設計部

猪辺

大学院で建築を学んだ後、社寺建築を手がける会社で設計と施工に携わり、薬師寺などの建築にも関わる。その後、注文住宅設計の会社を経て、2021年に日ポリ化工へ入社。現在は特注ユニットバスの設計に携わり、設計から製作まで一貫して関われる仕事の奥深さにすっかりはまっている。社寺建築、注文住宅、そして今は特注ユニットバス。建築の世界に魅せられてきた好奇心が、そのまま仕事の幅を広げてきた。一級建築士の勉強も続けながら、休日は家族でキャンプへ。子どもと過ごす時間を楽しみつつ、旅先ではつい建築にも目が向く。好きな建築家は藤森照信。

「社寺建築」から特注ユニットバスへの転身

猪辺将志は大学院で建築を学んだ後、社寺建築を手がける会社に入社した。設計だけでなく施工にも関わりながら、伝統建築の現場で経験を積んできた。

「大学院を卒業して、福井県の社寺建築の会社に入りました。大学のころからアルバイトで関わっていて、そのまま入社した形です。設計事務所というより、宮大工がたくさんいる会社で、設計と施工が一体になっているような環境でした」

その後は注文住宅設計の会社へ転職。使う人の暮らしに寄り添いながら空間を考える仕事にも、大きなやりがいを感じていた。ただ一方で、住宅設計の中でどうしても手が届かない領域があったという。それが、ユニットバスやキッチンなどの住宅設備だった。

「注文住宅の設計はすごく面白かったんですけど、ユニットバスやキッチンはメーカー製品を入れるだけで、自分ではほとんど触れられない部分でした。空間全体にはこだわれても、その中の設備そのものには手を入れられない。そこに、ずっともどかしさがあったんです」

そんなときに出会ったのが、日ポリ化工の“特注ユニットバス”だった。特注でユニットバスをつくる――その言葉だけでも強く惹かれたが、実際の事例や仕事の進め方を聞いて、その思いは確信に変わった。

「こんな世界があったのかと思いました。名だたるホテルや高層マンションでも、建物自体の設計とほぼ同列で構想や設計が進められていく。その優先度の高さにまず驚きました。さらに、設計の自由度や醍醐味も小さな空間にぎゅっと要素が凝縮されている。全く未知の世界だったんですが、だからこそ余計にワクワクしたんです」

大学院で建築を学び、社寺建築や注文住宅にも携わってきた猪辺にとって、日ポリ化工の特注ユニットバスは、もっとも設計に深く踏み込める仕事だった。素材も納まりも空間のつながり方も考え抜く。その密度の高さが、猪辺の探究心を強く刺激したのだ。

「社寺建築をやる中で、茶室の設計に携わる機会があったんですが、茶室ってすごくコンパクトな建築のなかに、光の取り方、人の動き、座る場所、所作なまで全部詰まっている。限られた空間の中にいろんな要素を凝縮して考えるところがあって、そこはすごく近い感覚があると思っています」

根拠を確認し、理解を繰り返す大切さ

実際に仕事を始めてみると、扱う素材の幅広さに驚いたという。

「僕がこれまで扱ってきたのは基本的に木だったんですが、ここではFRPや樹脂、金属、ウレタン、石材、タイルなど、本当に多くの素材を扱います。本来はそれぞれを網羅した知識がないと設計できないので、まだまだ自分の実力不足を感じることも多いですね」

浴室という特殊な空間ならではの難しさもある。例えば床の勾配ひとつ取っても、どれくらいの傾きが適切かという基準がある。それが、特注の場合には、デザインや納まりの関係で変えざるを得ないことがあるという。そのときは、床材の抵抗値や水の流れ、使われるシャンプーの種類まで関係するため、条件をきちんと理解して判断しなければならない。そのため、日々の仕事の中でも学び続ける姿勢を大切にしている。

「過去の物件をそのまま使うのではなく、自分なりに根拠を確認するようにしています。国の基準や建築資料などを照らし合わせて、なぜこの納まりなのかを一つずつ理解していく。それが楽しくもあり、難しくもあります」

「完璧にできた」と思うことがないから、続けられる

特注ユニットバスの設計は、建築とプロダクトの中間にある仕事だと猪辺は語る。浴室という限られた空間の中で、外部や周囲の空間との関係をどうつくるか。それは、社寺建築や茶室の設計で学んできた感覚とも重なるという。

「京都にある『伊根の舟屋』という建築が好きなんですが、建物と水辺の空間が一体になっていて、内部と外部の境界がほとんどないんです。建物の中にいながら外の景色や空気がそのままつながってくるような感覚があって、すごく魅力的な空間なんです。実際の案件でも似たような空間を手がけたことがあって、仕上がった現場に立ったときに“あ、舟屋の空間に近いかもしれない”と感じたことがありました。そういう瞬間があると、やっぱりやってよかったな、と思います」

ただ一方で、建築なら比較的自由にできることも、ユニットバスでは制約が多く、難しいと感じることもあると続ける。設計の仕事には終わりがないとも感じているという。

「防水や構造、素材の制約もありますし、製品として成立させる必要もあります。その制約の中でどう空間を成立させるかを考えるのが、この仕事のおもしろさ。社寺建築のころからそうなんですが、“完璧にできた”と思える仕事は一度もありません。もっとこうできたんじゃないか、と思うことが必ずあります。ただ、その反省が次の仕事につながっていく。それを繰り返していくことが、この仕事の醍醐味だと思っています」

猪辺は現在、一級建築士をはじめ、さまざまな資格取得にも取り組んでいる。さらに、技術的な知識を整理するため、自分なりのデータベースづくりも進めている。

「一級建築士や施工管理技士だけでなく、電気や設備の資格も取りたいと思っています。ユニットバスは照明や設備など多くの要素が関係するので、それぞれの知識を持っていた方が図面を書くときに役立つんです。勉強のためにも、過去の図面や納まりを整理して、自分なりにまとめていくのが最近の楽しみなんです」

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